1887

OECD Multilingual Summaries

Development Co-operation Report 2015

Making Partnerships Effective Coalitions for Action

Summary in Japanese

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10.1787/dcr-2015-en

開発協力報告書2015年版

パートナーシップによって連携の効果を高める

日本語要約

国際社会が過去60年間に行ってきた開発努力は、貧困の削減や人の健康の改善、その他の差し迫った課題への取り組みに目に見える影響を与えてきた。しかし、縦割りのイニシアチブ、相反する優先順位、非協調的なアプローチなどが引き続き進展の足を引っ張っている。

それと同時に、さらに繋がりを深め、グローバル化する世界において、国境は曖昧になってきている。従来型の国際協力を下支えしていた国家主権という概念がますます問題となっている。

協調的な行動がかつてないほど必要とされている。国連は、2030年までに達成すべき17の野心的で普遍的かつ広範囲にわたる「持続可能な開発目標」の策定を主導している。適切な相互責任メカニズムに裏打ちされたグローバル統治というシステムの枠内において国際協力を改善、拡充していくことが、これらの目標を達成する上で極めて重要である。

パートナーシップは開発の強力な原動力である

パートナーシップが「持続可能な開発目標」を達成するための集合的行動を推進していく上で極めて重要であることにはほとんど異論はないが、「パートナーシップ」という言葉は様々なアプローチ、仕組み、目標を含むもので、それらを一般化するのは、不可能ではないが難しい。

それと同時に、「持続可能な開発目標」は、普遍的な性格を持ちあらゆる国に適応できる一方で、何よりも多様性-置かれた状況、ニーズ、能力、政策、優先課題-の尊重に基づいている。その効果を発揮するには、これらのグローバルな目標に取り組むパートナーシップが各国の優先課題によって牽引されるようにすることが極めて重要である。

こうした文脈において、3つの指針となる原則がポスト2015年パートナーシップの可能性を十分に実現する助けになり得る。

  • 1 ‑ 責任ある行動 説明責任とは、自らの作為または不作為に対して責任を負い、不作為の場合には、約束を守らなかったことに対する制裁を受け入れるということである。政府が持つ説明責任はポスト2015年行動でもその核心に置かれるだろうが、現在の開発パートナーシップは、各国政府、議会、市民社会、慈善団体、多角的組織、企業、その他多くの利害関係者―特に開発イニシアチブの影響を受ける地域社会など、広範な利害関係者を結集したものである。現在の責任の枠組みの多くは、共通の開発効果原則に依拠しているものの、様々な利害関係者はそれぞれの方法で共通の開発アジェンダにアプローチするという認識に基づいている。この認識は、説明責任の中心となる2つの特徴、信頼と互恵を醸成する。では、ますます複雑化する国際協力の枠内で、どのように説明責任を管理するのか。妥当性と呼応性を確保し、約束の共有と政治的な推進力を維持するために常に見直し、更新が行われる測定可能な約束と標準と併せて、相互に説明責任を負う新たな方法が求められている。あらゆるパートナーがガバナンス・メカニズムの中で代表され、発言できるようにすることも不可欠である。
  • 2 ‑ 協調的で効果的な行動 開発協力に関与するパートナーが多様化するにつれ、取り組みの重複や断片化といった問題を回避することがこれまで以上に重要となっている。これはずっと以前から開発協力の効果を損なってきた問題である。ポスト2015年の効果的な行動は、パートナーシップを保健医療、教育、エネルギーなどの特定の問題と部門に重点化することにより大いに円滑化できるが、それはパートナーシップを増やしたり、大型化したりすることが最善策だということではない。これまでの経験によると、こうしたことは進展を促進するどころか、かえって阻害することになりかねない。逆に、既存の関係者と制度を統合してパートナーシップを合理化することは、断片化されていたり、重複したりしている行動を減らすとともに、開発途上国側の報告・行政負担を軽くして、行動とその効果のいずれをも改善する。官民双方を含むパートナーシップは、基準となる解決策を取り、多くの受益者へと開発手段がもたらされる範囲を拡大する助けにもなり得る。これは各国政府、個々の企業、慈善団体などが一般に単独ではなし得ないことである。最後に重要なことは、強力かつ意欲的なリーダーシップがパートナーシップに対して複雑な開発課題に取り組み、最後までやり遂げ、目標の達成に必要な人材や資金を動員する推進力を与える。
  • 3 ‑ 経験を踏まえた行動 現在の開発課題に応えられるように地球規模で開発協力を改革するには、態度と考え方を変える必要がある。経験に基づく対話と学習がこの変革をもたらす上で極めて重要である。本書に収録されている11の事例は、パートナーシップに関して多様な経験とアプローチがあることを示しているが、すべての事例に共通していることが少なくとも一つある。それは、経験から学び、知識を共有し、教訓と優良慣行を導き出すことの重要性を重視していることである。南南協力は知識共有の重要な媒体で、各国が他国の経験から直接得た教訓を自国の政策やプログラムに活かすために適用できる。説明責任のメカニズムは、経験から学ぶことに寄与し、開発協力の質を高め効果と妥当性を改善する。これらのメカニズムは、開発協力の枠組み、管理、提供がどのようになされているかに注目するピアレビューから、継続的適応を支援するために用いられる監視、報告、評価のサイクルまで、幅広い。

ポスト2015年パートナーシップは新たな進化する役割をもたらす

「持続可能な開発目標」の達成には、以下を含む多くの関係者の強力な関与が必要とされる。

  • 民間部門:雇用創出、技術開発、投資を行う。
  • 市民社会:国レベルと国際レベルの約束とそれが順守されているかを監視して、公共資源の建設的かつ説明可能な投資を確保して、開発協力のパートナーに説明責任を果たさせる。

これは、これまで開発資金の主要な提供者と見なされてきた政府の役割が変化していくことを意味している。

ポスト2015年パートナーシップのための政策枠組み

「開発協力報告書2015年版」は、「持続可能な開発目標」を達成するために必要とされる統治権と補完性、包摂性と差別化、一体性と特殊性のバランスを取る上でパートナーシップが果たす役割を探っている。本書は経験から学んだ教訓に基づき、パートナーシップによって連携の効果を高めるための実施、監視の枠組みとなる10の成功要因を提示している。

  • 1. ハイレベルのリーダーシップを確保する。
  • 2. パートナーシップを国家主導型かつ状況にふさわしいものにする。
  • 3. 取り組みの重複と断片化を回避する。
  • 4. ガバナンスを包摂的で透明性の高いものにする。
  • 5. 課題に見合ったパートナーシップモデルを適用する。
  • 6. 原則、目標、実施計画、執行の仕組みについて合意する。
  • 7. 役割と責任を明確にする。
  • 8. 結果重視姿勢を維持する。
  • 9. 目標に向けた進捗状況を測定、監視する。
  • 10. 必要な資金を動員し、効果的に使用する。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

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© OECD (2015), Development Co-operation Report 2015: Making Partnerships Effective Coalitions for Action, OECD Publishing.
doi: 10.1787/dcr-2015-en

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