1887

OECD Multilingual Summaries

Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2017

Addressing Energy Challenges

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エコノミック・アウトルック-東南アジア、中国、インド 2017年版

エネルギー問題への取り組み

日本語要約

2017年版の「エコノミック・アウトルック-東南アジア、中国、インド」は、2021年までの同地域の経済見通し(1章)、地域統合に向けた取り組みの最近の動向(2章)、再生可能エネルギーの発展(3章)、同地域の主要な構造政策の課題に関する詳細な国別報告(4章)という主要4分野に焦点を当てている。

2021年までの経済見通し

新興アジア諸国(ASEAN10か国-ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム-および中国、インド)の実質GDP成長率は、2016年は6.5%だったが、2017~21年は平均6.2%と力強い状態が続くと予測されている。民間消費が引き続き、成長に大きく貢献するであろう。ASEAN10か国は、経済成長が2016年の4.8%から2017年は4.9%に若干改善し、2017~21年の年平均成長率は5.1%になるする見込みである。フィリピンとベトナムの成長率は、ASEAN5か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の中で引き続き最も高くなり、中期的にはそれぞれ年6.2%と6.1%で推移すると見られている。残りの5か国の成長は、最近の実績と比較すると、中期的にはかなり安定または若干改善すると見られている。ブルネイは緩やかな成長に戻るが、シンガポールは引き続き、横ばい状態から若干上向きになると見られている。カンボジア、ラオス、ミャンマーの3か国は、今後5年間、年成長率7%を超え、ミャンマーでは8.5%に達するASEAN諸国で最も強い成長率を実現して、引き続き追い上げるだろう。

中国の成長は、中期的には年平均6%程度に鈍化すると予測されている。インドの成長率は高止まりし、中期的には2016年の7.4%と同程度の7.3%で推移するとみられている。

成長を脅かすリスク

総じて良好な経済見通しではあるが、この地域の政策当局は成長にマイナスとなるいくつかの潜在的に重大なリスクに注意を払う必要がある。

  • 貿易の伸びは過去5年間、世界全体で鈍化しているが、これらアジア地域も例外ではない。その原因の一部は、中国経済の鈍化など、政策によって変えられないものによるが、比較優位のある分野に注力することで、輸出を促進することはできるかもしれない。非関税障壁の増加が、さらに貿易活動を阻害する可能性がある。
  • 先進諸国で続く低金利は、適切に管理できないと、新興アジア諸国の市場の不安定につながる恐れがある。特に、銀行部門は注意深く監視しなければならない。
  • 生産性の伸びが横ばいになると、長期成長見通しが悪化する恐れがある。生産性の拡大を促進するには、国際的な知識と技術のフローから便益を得る国内の能力を開発するといった方法で、生産性の高い企業の出現を促進するビジネス環境と政策に改革する必要がある。

地域統合の最近の動向

統合は、この地域が回復力をつけ、成長見通しを改善するための良い方法である。これは特に、世界の経済成長が鈍く、一部地域で内向きな政策が導入されている現状に特に当てはまる。ASEAN経済共同体は、2015年末に設立され、この共同体のいくつもの部門計画が、新しいASEAN経済共同体ブループリント2025のもとで設定され、財、サービス、投資、資本、高技能労働力の自由な移動の促進を目指している。

次の12の主要政策分野で、最近成果が上がっている。財の貿易、サービス貿易、投資と資本市場、競争と消費者保護、知的財産権、インフラと接続性、中小企業、食料と農業および林業、観光業、人材開発と社会の発展、エネルギー、ASEAN統合イニシアチブ。しかし、ASEANでは統合の全体的な進捗状況は相対的に遅く、多くの地域イニシアチブは国内の支援策がタイムリーかつ効果的に行うことに問題を抱えており遅れている。このような支援策が、協力関係の深化を促し、地域統合への長期的コミットメントを改善する。

再生可能エネルギーの発展

国際エネルギー機関(IEA)の長期見通しによると、新興アジア諸国では、人口増加、持続的な経済成長、電力の利用増加といった様々な社会経済的要因により、エネルギー消費量が大幅に増加すると予測されている。総一次エネルギー供給量は2013年は44億600万石油換算トンだったが、2040年には69億9800万石油換算トンに増えると見込みで、この地域で利用されるエネルギーの主要な源は、引き続き化石燃料である。

この地域の大半は、再生可能エネルギーの展開能力について何らかの目標を設定し、また既存のエネルギー源に対して未だ競争力がない再生可能エネルギーの発展を後押しする政策メカニズムを導入している。中でも、固定価格買取制度という、電力会社が所定の再生可能エネルギー技術を長期間購入するという合意を与える価格主導の政策メカニズムが、一般に用いられている。固定価格買取制度は有効ではあるものの、適切な価格水準を設定することが難しい場合がある。

中国とインドは、規模が大きいために、再生可能エネルギーへの世界全体の投資に非常に大きく貢献している。ベトナム、タイ、マレーシア、ラオスは、ASEAN諸国内では投資が最も多い国々で、特に水力発電に多額の投資を行っている。海外直接投資は、再生可能エネルギーへの投資の重要なチャネルの一つで、資本、技術、地検の移転も可能にする。インド、中国、インドネシアは、同地域内では最大の投資受入国で、全体の60%以上を占めている。海外直接投資はまた、グリーン関連の雇用拡大を支援する一助にもなりうる。

新興アジア諸国における再生可能エネルギーの発展に正しい条件を設定するには、発電網(グリッド)の利用、行政上の障壁、エネルギー価格メカニズムなどの課題を解決する必要がある。

主な構造政策の課題

各国内の構造政策改革は、新興アジア諸国における力強く持続可能な成長を維持する条件を整える上で、不可欠である。国の発展を追求する計画の中で、地域改革に共通する優先分野には、インフラ、教育と技能の開発、観光業、海外直接投資、エネルギーなどがある。この多様な地域にある国々が取り組むべきその他の重要事項には、住宅問題、デジタル経済、経済の多様化、資本市場開発、起業促進などがある。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

本要約の転載は、OECDの著作権と原書名を明記することを条件に許可されます。

多言語版要約は、英語とフランス語で発表されたOECD出版物の抄録を 翻訳したものです。

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© OECD (2016), Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2017: Addressing Energy Challenges, OECD Publishing.
doi: 10.1787/saeo-2017-en

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