1887

OECD Multilingual Summaries

Policy Responses to New Forms of Work

Summary in Japanese

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新たな働き方への政策対応

日本語要約

近年の労働市場の動向を踏まえ、各国は労働法、生涯学習、社会保障 、課税、団体交渉といった現行の制度が現在も目的に適っているか検討している。目的に適っている場合もあるが、そうでない場合には、立場が弱い労働者を保護し、新たな雇用形態の悪用 を防ぐために政策を変更し、規制を遵守する企業が不当に不利益を被らないように政策を徹底させる必要がある。

本報告書は、各国が多様化する雇用形態に対応するために講じている政策的措置を概観するもので、複数の国が同様の問題を抱えている場合には、ピアラーニングを奨励している。調査結果は、OECDと欧州委員会がOECD、EU、G20諸国の44の労働担当省(または労働市場政策担当省)に対して主に2018年6月から8月の間に実施した調査に基づいている。

本調査によると、多くの国が現在、現行の政策や制度が急速に変化する労働環境の現在(そして今後)の課題に有効に対処できるのかを検討している。対処できている場合もあるが、そうでない場合には、立場が弱い労働者を保障し、新たな雇用形態の悪用を防ぐためにすでに措置を講じている国も多い。

国によって状況は異なるが、本報告書では共通して懸念される複数の分野を取り上げている。多くの国が挙げた重要な問題の一つは自営業に関する問題で、特に誤分類の問題と、従来の定義に基づく従属雇用と自営業の狭間にある労働者の分類の問題がある。多くの国々は、正しい分類を徹底することが労働と社会保障に加えて団体交渉や生涯学習の利用しやすさを確保する上で重要であることを認識している。しかし、分類の問題以外にも、各国はこれまで保護されていなかった労働者にも権利や利益、保障を与える取り組みを行っている。一部の国々では、契約の種類による税制上の扱いの差を緩和することで、誤分類のリスクを減らすことができる。

プラットフォーム労働に関しても、メディアや公開討論の場で、こうした労働者を分類する方法や適切な労働条件を確保する方法について活発な議論が行われているという報告が複数の国からあった。すでに旅客輸送部門のプラットフォームに関連して政策措置を講じている国々もいくつかあり、その運営方法を規制し、課税に関して報告義務を課している。

一方、有期契約や変形労働時間制契約における労働条件やこうした労働契約の過剰または不適切な利用、若年層及び労働市場の新規参入者に対する潜在的影響が過度に大きくなることについても懸念が生じている。そのため、規制によって適切なバランスを図ろうとしており、柔軟性を認める一方で、企業が標準的な雇用に関する規制を回避することを目的にこうした契約を利用することを防いでいる。

新しい働き方をする労働者に対する社会保障上の格差も懸念事項の上位に挙げられ、複数の国々が立場の弱い自営業者について対象範囲を拡大し、雇用形態が異なる契約の間を移動する個人のポータビリティを高め、多層構造(拠出制給付、資力調査に基づく給付、普遍的給付)の社会保障を提供する方法についても言及している。

また、これまでは除外されていた労働者のグループに団体交渉権を与える方法を検討している国もある。

以下のリストは、政策の方針を示すもので、政策当局が新しい働き方の出現と成長に対応するために政策と制度を統合、再検討、変更する際の指針である。

政策の方針

この方針は、OECDの「雇用アウトルック2019年版」 に収録される仕事の未来(future of work)に関するより広範な政策方針に盛り込まれることになっている。

  • 労働者を正しく分類する(とともに誤分類に対処する)ことは、労働者が仕事と社会保障のみならず、団体交渉と生涯学習を利用しやすくするために不可欠である。
  • 各国は、企業や労働者が租税負担と社会保障負担を回避する目的で、雇用関係を自営業と誤分類する誘因を最小限に抑えようとすべきである。
  • 各国は、雇用者と自営業者の間の「グレーゾーン」に該当する労働者に権利と保障を拡大することを検討してもよい。
  • 国によっては、有期労働、非正規雇用、プラットフォーム労働に適正な労働条件を確保し、こうした雇用形態の過剰または不適切な利用に対処するための取り組みを強化する必要がある。
  • 社会保障制度を検討し、必要に応じて、新しい雇用形態の労働者が給付を利用しやすくするために制度を改革すべきである。
  • 各国政府は、公共雇用サービスと公共技能プログラムに関する現行の戦略を、新しい雇用形態の労働者の利用しやすさと参加を向上させるために変更する必要がある。
  • 政策決定は逸話ではなく証拠に基づくべきである。複数の国々が同様の問題を抱えている場合には、ピアラーニングがより良い政策につながり得る。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

本要約の転載は、OECDの著作権と原書名を明記することを条件に許可されます。

多言語版要約は、英語とフランス語で発表されたOECD出版物の抄録を 翻訳したものです。

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© OECD (), Policy Responses to New Forms of Work, OECD Publishing.
doi: 10.1787/0763f1b7-en

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