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OECD Business and Finance Outlook 2015

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OECD企業・金融業アウトルック2015

日本語要約

低金利環境下で約束を守る

『OECD企業・金融業アウトルック』創刊号は、企業、銀行、シャドーバンキング(影の銀行)仲介機関、機関投資家が超低金利の環境と世界経済の構造変化にどのように対処しようとしているかに注目している。何らかの政策行動がとられなければ、成長、雇用、年金の「約束」が守られないのではないかという懸念がある。

企業投資と景気停滞の謎

金融危機によって導入された金融緩和政策を受けて、金融市場は大幅に回復しているが、設備投資を行う企業の方は同じ価値創出の機会を見出せていないようである。歴史的な低金利にもかかわらず、経済成長は多くの地域で投資不足などが原因で停滞しつつある。投資不足は、一般産業、インフラ、クリーンエネルギーなどの部門の企業について言えることである。本書は、ブルームバーグ世界株価指数に採用されている先進国、新興国双方の世界大手企業1万社のボトムアップデータを用いてこの謎を探っている。このデータでは、2002~2014年の設備投資とそれに対応する金融データを利用することができる。

金融市場の動向、推移、政策懸念

金融危機に対する政策及び規制対応は、余剰資金を他の部門や地域へと向かわせる傾向がある。2008年の金融危機では、リスクがシャドーバンキングや社債などの部門に流れ込んだ。影の銀行は、豊富な資金を抱える投資家と資金不足の投資家の間の信用を仲介し、低金利と長寿化というリスクを抱える環境で、証券を再利用し、直接的にあるいは統合的に高利回り・低リスクの代替商品を利用するものである。問題の根本にあるは、構造変革と規制改革が実施されなければ守れそうもない数多くの暗黙の約束が、投資家に対してなされていることにある。

この点において懸念されるのは、年金基金と生命保険会社の支払能力(ソルベンシー)の見通しである。約束がパラメータの変化と連動している、または低金利、低インフレ、低成長という新たな環境に調整できるのであれば、これらの機関はこの状況を乗り切ることができるかもしれない。しかし、万一、金利が上昇に転じた場合に、これらの機関がこれまでに行ってきた何らかの確定保証に関する約束を守ろうとして、過度の「利回り追求」にのめり込むような事態になれば、財務の見通しが極めて深刻な状況になると懸念される。規制当局と政策当局は今後も警戒を怠るべきではない。

中小企業は、現在の経済金融危機から回復するために必要不可欠である。金融危機により銀行貸出は減少しているが、中小企業はその打撃をもろに受けている。景気下降期には大手企業より中小企業の方が、急速に資金繰りが悪化するからである。銀行貸出の格差は危機以降広がっているが、米国以外で特にその傾向が強い。したがって、(供給の問題に限り)中小企業向け金融を促進する二面的アプローチが提案されている。その1つは、銀行貸出を増やすために銀行の健全性を回復させること、2つ目は、中小企業が銀行に頼らずに債券及び株式市場において幅広く資金調達できる体制の整備を支援することである。後者は零細ながら活力あるイノベーション指向型の中小企業に特に向いている。中小企業は多様なので、中小企業向け金融は今後も複雑であり、様々な手段やアプローチが必要とされる。政策当局は、データの透明性、標準化、利用可能な資金調達オプションに関する啓発活動の向上を、規制によって支援することができる。

多国籍企業が関係する世界及び国境を越えた域内金融フローの最近の動向については、国際M&A(合併・買収)や海外直接投資に関するデータを用いて調べている。今後の見通しを左右する3つの主な要因が検討されている。すなわち、より広範な経済動向、世界経済のガバナンスにおける政府関与の強まり、新興経済諸国からの多国籍企業投資の持続可能性である。

企業投資の市場型資金調達の強化

最近10年間で、企業の資本市場の利用は多くの重要な点において変化している。これらの変化はの一部は、従来の資金源に影響を及ぼし、企業の負債の一部を従来の銀行貸出から社債へと移行させているマクロ経済事象が原因である。また、中小企業による公開株式市場の利用が減少した一因とも考えられる規制変革の影響もあるかもしれない。この10年に、株式流通市場の機能と取引慣行においても重大な変化が起きており、投資家間の平等な競争条件の確保と効率的なプライス・ディスカバリーに関して重要な政策問題を提起している。最後に、低金利の環境において、機関投資家が顧客に対する義務の履行を迫られている場合には、企業は増配や株式買戻プログラムを求める投資家の声に応えざるを得ない状況にもなっている。

投資と成長のための競争促進政策の改革

G20は2014年、企業がコスト削減と新商品開発、商品改良を行うインセンティブは企業同士の市場競争であるという認識から、競争を促進することは優先課題であると宣言した。経済データによれば、成長を促進する最も効果的な構造改革のいくつかは製品市場の競争を強化する改革である。他方、競争を阻害する最大の要因は、国有企業の保護や不必要に競争を制限する規制政策から生じることが多い。国有化は世界経済において重要性を増してきているだけに、国有企業に民間企業と対等に、同じ条件で競争させることがますます重要になっている。最も有害な規制を特定し見直すことは困難を伴い、多くの場合、政治的に難しいこともある。便益の定量化や他国の経験に関する説明は、改革に対する政治的支援の必要性を説明しそれを獲得する助けになり得る。本書にはこの事例もいくつか取り上げられている。

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© OECD (2015), OECD Business and Finance Outlook 2015, OECD Publishing.
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